チェットTである。

 80年代後半に、俺は初めて、エレアコなるものを手にした。

 「オベーション・カスタム・レジェンド・ブラック」だ。

 その時から、俺のギタープレイは大きく変わった。

 「加奈崎ユニット」解散以降、一人ロックバンドをやるヒントを得たのだ。

 ギター一本でベースもドラムもやれるじゃん。音はいくらでも大きくなるじゃん。

 俺の声についてこれるギターだ。

 しかし、オベーションは、よくハウル。ハウリングポイントをミュートするのに疲れていた。

 ある日、「スティング」の日本LiveのTVを見ていた。

 奴はチェットのガットギターを持ち唄っていたが、

 次に、トップとボリュームとトーンコントローラーの付いた、チェットを持った。何だこりゃー。

 このレスポールみたいなエレアコは!

 次の日、輸入元の山野楽器へTELした。「チェットのスティールが欲しい」。バカはこう言った。「注文すれば取りよせます」

 バカ言ってんじゃないよ。ギターは個体差があるんだ。抱いてみて、握ってみて決めるんだ。

 かなり頭にきたので、ダチ公のいるイシバシ楽器へTELし、並行輸入で取りよせてくれと、数週間後、4本のチェットが入ったと言う。

 急いで渋谷のイシバシへ行った。

 ナチュラルトップと、ホワイトトップのチェットがあって、しばらく4本のギターを弾いていた。

 ちょっとつらいホワイトが一番音がよかったのだが、俺は2番目のナチュラルをえらんだ。

 他の3本の中の2本は先輩、加藤和彦氏とギタリスト松原某氏が手に入れたらしい。

 今だにくやしい事だが、こいつを弾いて、次の日に金を握りしめて買ったのだが、

 その日は日本の初めての消費税導入の日だったのだ。一日違いで、消費税をムダに使っちまったゼ。

 今だに俺のLiveのメインギターである。 トーシロが手にするとヤケドするギターである。

 シリアルは、80549534である。

 ヘッドの形とギブソンロゴは、ギタリスト、チェットアトキンスと、ギブソンクラフトマンの思いを感じる。